いらない。 続き





目の前にあるのは、顔立ちの整った雲雀の顔。

(えぇ・・・!?何、何が・・・起きて・・・っ)

綱吉は頭をぐるぐると回し、この状況を理解しようと必死だが、時間は待ってはくれなかった。
雲雀はスッと綱吉の左手を取り、甲にある傷に口唇を寄せる。

「な・・・・ッッ!!ひ、ひばりさ、何やって・・・!ッう!!」

雲雀はちゅうっと傷口に吸いつき、舌で舐めはじめた。綱吉の顔が赤く染まる。

「ちょ、な、やめ、やめてくださ・・・ッ!! ゃ・・・!」

(い、たい・・・ッ)

まだ塞がってない傷口に唾液はしみる。舐めたり、吸ったりと雲雀にやめる気配はない。

「や、やめ・・ッぃ、たいです・・ッ!!」

綱吉が強く言うとやっと満足したのか雲雀は口唇を離す。 やっとやめてもらえたと、綱吉はホッと胸を撫で下ろした。
しかし、雲雀はまだ綱吉の上から退こうとしない。

「ねぇ、これはどうしたの。」
雲雀は綱吉の額にある四角く、通常よりは大きいであろう絆創膏に触れる。

「え・・・・あ、その・・・昨日、体育の時、ボールが当たって・・・。」

綱吉は恐る恐る口にすると、びくびくと雲雀の様子を伺った。

「へぇ・・・・。」

雲雀は嫌な笑みを浮かべると、ビッと絆創膏を勢いよく剥ぎ取った。

「ッッ・・・・!!」

綱吉は痛さに目を瞑る。そして、また雲雀の舌が傷口を舐める。

「ちょ、や、やだ・・も、やめてくださ・・!やッ・・・ッあ・・・。」

傷口を吸われたり、舐められたり、もう何が何だかわからない。
そして絶対と言っていいほど、逃げられない

身体が、熱くなっていく・・・。

「や、なんで、こんな・・・っっひばりさ・・・っ・・!」

綱吉は涙を溜めながら精一杯、雲雀の両肩を腕で押す。

小さな、抵抗。

雲雀は小さく溜め息をつくと綱吉の涙を拭う。

「僕がせっかく消毒してあげてるんだから、もう少し静かにしてなよ。」

「・・・・!?」

何を言っているのだろうこの人は。

(消毒ってそりゃ、ツバでもつけとけば治る。とか言うけど・・・。)

「・・・ッ!!」



その時、綱吉の膝に激痛が走った。雲雀の腕が、今日転んだ大きな擦り傷に触れたのだ。
それで顔を歪めたことが、雲雀にもわかってしまった。

「何、・・・・ココにもあるの。」

「ッッ!!!」

雲雀はするっとズボン越しに両膝を撫で、綱吉はぎゅっと目を瞑り痛みに耐えた。

「・・・・キミってホント、生傷が絶えないっていうか・・・。」

雲雀はそういうと綱吉のベルトに手をかけた。

綱吉は慌てて雲雀を止めようと手をベルトに伸ばしたが、遅かった。
ずるりとズボンを引き抜かれる。

「や、やだッ・・!!ひばりさ・・・!!やぁ・・・っこんなの、はずかし・・・っっ。」

綱吉は雲雀の視線から逃げるように上に着ているシャツを引っ張り、必死に自分の下着を隠そうとする。
別に今更下着ぐらい、と思えるものかもしれないが、やはり、恥ずかしいものは恥ずかしいわけで。

(もっ、なんで、雲雀さんは、こんな・・・ッッ!!)

「あぁ・・・ッッ!!」
まだ新しい膝の傷に雲雀はすかさず口唇を寄せる。
綱吉は痛みを堪えるようにぎゅっとシャツの裾を握り締めている。
カタカタと小さく身体が震えている。
雲雀の舌先が傷口を這う度にピリピリと皮膚が、身体が、痺れていく。


「ふぁ・・・ッ!あぁ・・や・・・ッッひばり、さ・・・っ」

ピチャピチャと水音がする。
雲雀は右膝を舐め終わると左膝を舐めはじめる。

(あ、つい・・・・くらくら、する。)

綱吉ははぁ、と熱っぽい息を漏らすと、さっきから自分の傷口を舐めている雲雀を見る。

(なんで、こんなことに・・・・、なったんだろう・・・・。)

「ぁ・・・ンンぅ!! ッぁ・・・!ぃたぁ・・・!!」

雲雀は名残惜しそうに強く膝に口づけると、やっと口唇を離した。

「んぁ・・・・っ・・・ふ・・・・。」


綱吉はくたりとソファに沈み込む。雲雀はじっと綱吉の身体を眺める。

(・・・・・・??)

「ねぇ。」

「は、ぃ・・・・・。」

「もう、ないわけ。」

傷、のことだろうか・・・。綱吉はコクリと頷く。

「そう・・・・・。」

雲雀はそういうと今度は綱吉のシャツに手をかける。

「ちょ、ちょっと、ひ、雲雀さん・・・!!??」

綱吉が慌てている間に雲雀はプチプチとシャツのボタンを外していく。
白い肌が露わになり、するりと雲雀の手が綱吉の身体を這う。

「や・・・何、を・・・・・!!ひぅ!!」

綱吉の首筋にチクリと痛みが走った。

(噛まれた・・・・っ!)


「・・・・本当に、気に入らない。」

「・・・・え?」

雲雀の額と綱吉の額が重なる。




「君を傷つけていいのも、守っていいのも、僕一人だけなのに。」







END