Magnet
俺が1人で帰ろうとすると絶対アイツがいる。
「おや、ボンゴレ 奇遇ですね。」
このセリフは、もう何回聞いただろうか。
そんなコト言わなくても、俺は会うのを楽しみにしているのに。
最近俺は1人で帰ることが多い。
近々始まるテストのための放課後の補習があるからだ。
獄寺くんには待たせるのは悪いからと、いつも頑張って説得しながら先に帰ってもらっている。
本当なら山本も放課後に補習を受けなくちゃいけないんだけど、
大切な試合が近くて部活を休めないからと、山本は昼休みに補習を受けている。
そして、恋人の雲雀さんも何だか風紀委員の仕事が大変らしくって最近全然会っていない。
だから俺は放課後、1人だ。
なのに補習が終わって校門を出れば、
「おや、ボンゴレ 奇遇ですね。」
目立つ頭、グリーンの制服を身にまとった男がにっこりと自分の方を見る。
六道 骸だ。
「なっ・・・・、な、なんで・・ココ、に・・・・。」
綱吉はずさっと後ずさる。手にしている鞄の紐をぎゅうっと握り締めた。
「いえね、偶然ココを通りかかったらボンゴレが出てきたんですよ。・・・・本当にそれだけですよ。」
言っていることに胡散臭さを感じながらも綱吉はじとっと骸を見る。
「何ですかその目は、本当だと言っているでしょう?」
信じられない、と内心思っている綱吉だったが勇気を出して口を開く。
「・・・じゃ、じゃあ・・・・、俺には何の用も、ない、・・・・よな・・・?」
だって偶然会っただけなのだから。
「・・・・・は?」
骸はしばらく固まると疑問を口にした。
「何を言っているんですかボンゴレ、せっかく会えたんですよ!?何かしないわけないでしょう!」
(えぇーーーー!!!???)
何故か憤慨した様子を見せながら骸はじりじりと綱吉との距離を縮めていった。
身の危険を感じた綱吉はもう1度校舎に戻ろうと走り出したが
すぐに骸に腕を掴まれ引き寄せられ、目の前に立たされた。
「う、わ・・・!!」
「クフ! ボンゴレ、一緒に帰りましょう。家まで送りますよ。」
骸はにっこりと綱吉の額にちゅっとキスをひとつ落とした。
「んなッッ!!!!!!」
綱吉は顔を真っ赤にさせて自分の額を押さえる。
「クフフ、可愛いですねボンゴレ、さぁ、帰りましょう。」
「な・・・ッ!ちょっ・・・!む、むくろ・・・・っ!」
骸にぐいっと右手を掴まれ、そのまま引っ張られるようにして学校を後にした。
「ちょ・・・、骸、手ぇ 離し・・・っ」
しばらく2人は誰もいない住宅街を歩いた。
骸は綱吉の手を離さず嬉しそうに進んでいく。
綱吉は必死に逃れようとするが、骸の手はびくともしない。
「むっ、骸・・・っ!手、離せ・・!!」
綱吉は大きな声で骸に訴えると、ぶっすうっと不満そうな顔が綱吉の方を向いた。
「だってボンゴレ、手を離したら逃げるでしょう?」
(そりゃそうだよ・・・・・こんな風に下校を強要されたら。)
「だからダメです。・・・・・それに。」
(それに、何だよ。)
「こうやって手を握ってると恋人同士みたいじゃないですか。」
「な・・っ!!何言って・・・・っっ!!!!」
「だって、そうでしょう??こんな風に手を繋いで帰るなんて、まさに恋人同士じゃないですか。」
「な・・っ!な・・・っ!」
綱吉は口をぱくぱくさせながらぐいぐい骸に引っ張られていく。
「クフフ・・・、あぁ・・・残念ですボンゴレ、お家に着いてしまいました。」
「あ・・・・。」
ふと横を見れば「沢田」の表札があった。
「あぁ・・・・・残念です・・。もっと一緒に居たかったんですが・・・、今日はココでお別れですね・・・・。」
骸はイキナリしゅんと、うなだれた。
(俺は全然、残念じゃないけどな。)
「あぁ・・・ボンゴレ、じゃあ、またお会いしましょう。それでは。」
骸はそう言って去っていった。綱吉はぽかんと骸が去っていった方を見ていた。
(あぁーー、アイツ何だったんだよ・・・・・。何か変に疲れた・・・。それにまたって・・・、
・・・・・・・え・・?またって・・・!?・・・・まさか。まさかな・・・・。)
綱吉は頭に浮かんだ嫌な考えを頭を振ることで捨て去ると、少しの不安を抱きつつも家の中へ入った。
次の日
「おや、ボンゴレ 奇遇ですね。」
放課後1人で校門を出れば、またいた。
「な・・・!!なんでいるんだよッッ!!」
「なんでいるって・・・、ボンゴレ、僕は偶然、たまたまココを通りかかったんですよ?
それに対して何故いるも何もないでしょう?」
絶対嘘だ・・・。綱吉はそう思いながらも何も言うことができなかった
「ボンゴレも1人ですか? なら一緒に帰りませんか?」
綱吉が何も言わないと骸はすっと手を差し伸べてきた。
綱吉はそれを思い切り頭を横に振ることで断った。
だが。
「そんなつれないコト言わずに一緒に帰りましょうボンゴレ。」
人の話を聞いていないのか骸は昨日と同じように綱吉の手を握る。
(うわぁーーー!!もうコイツ全然人の話聞いてないよッッ!!)
「ちょ・・!!骸・・・!!」
綱吉が抗議の声を上げれば骸はくるりと綱吉の方を向く。
「だって、ボンゴレ逃げ「逃げないから・・・!!」
骸が言い終わる前に綱吉が叫ぶ。一緒に帰ることよりも、手を繋いで帰ることの方が耐え難いからだ。
そして逃げないと言っておけば、手は離してもらえる。
手を繋がれている時よりもこちらの方が多少逃げる道はある・・・・・・。
「本当ですか・・・?」
「ホント、・・・だってば・・・・ッ」
骸はじっと綱吉を見る。
(うぅ・・・・、怖い・・・・。)
すると骸はクフ!と嬉しそうに笑う。
「まぁいいでしょう。例えボンゴレが逃げたとしても僕ならすぐに捕まえられますしね・・・・。」
クフフフと笑う骸を見て綱吉はもう逃げ道を断たれた、と大きくうなだれた。
「そうです、ボンゴレ。」
二人はある程度の距離を保ちながら帰り道を歩いていた。
(綱吉が骸から一定の距離をおいているというのが正確である。)
「な・・、なに・・・・。」
「ボンゴレが好きなTVゲームが駅前のゲームセンターに対戦ゲームとして入ったそうですよ、行ってみませんか?」
「え・・・・。」
何で俺の好きなゲームを知ってるんだ、と言うツッコミが頭をよぎったが、
綱吉はゲームの方に心を惹かれてしまった。
どうします?という骸の問いに綱吉は行く・・・と小さく返事をした。
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