Magnet 続き1





「あぁ〜〜!もう!!何でお前そんなに強いんだよ!!」

初めてだって言ってた!と悔しそうに反対側にいる骸に文句を言う。

綱吉の画面には lose の文字が映し出されている。

「いえ、初めてなんですが、コツを掴んでしまえば割と簡単ですね・・。」

クフクフと笑う骸に綱吉はこのゲームを含め三敗していた。
綱吉にしては何とも面白くない話である。

「骸!もう1回しよう?もう1回!!」

綱吉はどうしても勝ちたいのか、財布から小銭を取り出す。

「クフフ いいですよボンゴレ、手加減はしませんよ?」

「い、いらないよ!そんなの!」


小銭が投入され、第4回戦が始まった。







日が落ちた頃、賑やかなゲームセンターを後にした二人は沢田家への道を歩いていた。


「クフフ ボンゴレ、1回も勝てませんでしたね。」

「う!うるさいなぁ・・・!骸が変な裏技ばっかり使ってくるからだろ・・!」


ゲームの結果、綱吉は10敗だった。そしてもちろん骸は10勝だ。
綱吉は家でやりなれているように何度も技を決めていたのだが、
骸はそれをひらりひらりとかわし、勝ってしまっていた。


「クフフフ それにしても楽しかったです。また行きましょうねボンゴレ。」

むすぅっと拗ねた顔の綱吉に骸はニコリと笑いかけた。

「え・・・。」

「ボンゴレは楽しくなかったですか?」

「え・・・、いや・・・・。」



楽しくなかった、と言えば嘘になる。
いつもならこんな風に帰り道にゲームセンターに寄ることなど、ほとんどない。
獄寺や山本とたまに行くことはあるが、こんなに他人とゲームで白熱したことなどなかった。


もちろん、恋人の雲雀とはゲームセンターなど訪れたこともない。


ゲームは負けてばかりだったけれど、楽しかったと綱吉は素直に思った。

「・・・うん。楽しかった・・、よ・・・。」

「クフ!そうですか!!それはよかったです・・・!!
 また行きましょう!あ、でもそれまでに練習してきて下さいね。」


このままでは僕がまた圧勝してしまいますから、と
自信満々に言う骸に綱吉は次は勝つとリベンジを心の中で宣言した。


「それでは、ボンゴレ、また明日。」

沢田家の前に着くと骸はそれだけ言うと去っていってしまった。

「え、あ・・・うん。」

綱吉はそれをぼうっと眺めるばかりである。


何だか今日はとても楽しかった気がした。

(骸って、怖くて変なヤツだと思ってたけど、・・・結構・・・、普通でイイやつなのかな・・・。)


綱吉はそう思いながら、家のドアを開けた。





それからというものの、綱吉が1人で帰るときは必ず骸が現れる。
そしてゲームセンターに行ったり、ぶらぶらと商店街などを歩いてみたりと、
過度なスキンシップもあったりしたが普通の友達のように楽しく過ごしていた。

綱吉も日が経つにつれ段々と骸に対する警戒心が薄れ、1人で帰る日が楽しみで仕方なくなってきていた。

教師にまで補習をするのに嬉しそうだな、と言われてしまう程だった。
そして全ての補習が終わる前日に骸がこんなことを言ってきた。


「ボンゴレ、明日で補習終わりですよね?」

「え・・・、あ、うん・・・。」


何故知っているのだと言う疑問はいつも頭をよぎるので、もう何も聞かない。


「明日の放課後、空けておいてくれませんか?」

「え・・・?」


何を言っているのだろう。今更ではないか。

明日も俺は1人で、骸自身をもそれを知っているはずなのに。

何でわざわざ約束なんか。


「ボンゴレにどうしても伝えたいことがありまして。」

そう言う骸の表情は心なしか真剣に見えた。


今では駄目なのかと聞こうとしたが、それは何故かできなかった。

「あ・・、うん、別にいいけど・・・・。」

「クフ!それはよかったです。」


骸は笑うと、いつもの様子に戻っていた。






綱吉は家に戻ってから、そのことばかり考えていた。

(骸が俺に伝えたいことって何なんだろう・・・・。)

ベットにごろりと横になり色々な考えを張り巡らせるが、何も思い当たることがない。

(マフィア、・・・・・関係のことなのかな・・。そうだったら、面白くないな・・・・。)

はた、と今の自分の考えに疑問が生じた。


(面白くないって・・・・・?そりゃ、マフィアのこととか聞いても嬉しくないし、面白くもないけど・・・。)



じゃあ、俺は 骸に何を伝えて欲しいと思った?



別にいいじゃないか、マフィアのことでも何でも。


なのに面白くない、と思ったこの感情は何だ・・・?



綱吉はその答えがわからぬまま、眠りについた。







翌日



綱吉は補習最後のプリントとにらめっこをしていた。
残す問題はあと2問。補習が終わるまであと5分。
このままでは補習時間が延長してしまうだろう。


(骸には悪いけど、少し待ってもらおう・・・。)


綱吉はそう思い、なるべく早く問題を解こうと必死だった。


その時。


「2−A沢田綱吉、2−A沢田綱吉、至急 応接室まで来なさい。」


静かな教室に響く校内放送。


「え・・・?」


「応接室」と言う言葉で呼び出したのはすぐに雲雀だとわかった。
これで呼び出されてしまうとすぐに応接室まで全力疾走しなければ、
後が怖いことは、恋人になってからも、なる前も変わらない。

普段の綱吉ならすぐに教室を飛び出て走っていくのだが、今日はそうは行かない。


(骸、との・・・・約束が・・・。)


チラリと時計を見ればあと2分で補習時間が終わる。
今このまま雲雀のところに行けば、確実に帰るのは夜になるだろう。


そうなると今日骸とは会えない。

約束が、果たせない。

自分に伝えたいと言っていたことが、聞けない。


どうしようと迷っている綱吉に補習をさせていた教師は、沢田、何をしている。早く行かないか!と急かす。

ここで自分が補習が終わるまで駄目だと言えば、あの怖い風紀委員長から
どんなとばっちりが来るかわからないからである。


綱吉は教師に言われ、床に縫い付けられた足を動かした。





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