Magnet 続き2
雲雀に植えつけられたこの恐怖は簡単になくなるものではなかった。
綱吉は廊下を走りながら、骸のことばかり考えていた。
謝罪の気持ちと、胸の中でわだかまっている、自分自身もよくわかっていないこの気持ち。
この気持ちに押されて苦しいのか、ただ走っているから苦しいのか、綱吉にはどちらかわからなくなっていた。
呼吸を整え、行き慣れた部屋をノックする。
入りなよ。と言う声がして綱吉はドアを開ける。
「綱吉、少し遅かったね。」
応接室に入れば、雲雀が椅子に座って待ちかまえていた。
「あ・・、その・・・すみません・・・・。」
「いいよ、今日は許してあげる。」
ほら、そんな所に立ってないで、こっちに来なよ、と雲雀は少し嬉しそうに綱吉を呼んだ。
「あ・・、はい・・・・。」
綱吉はゆっくりと雲雀のところまで歩く。
何か、違う。
「悪かったね・・・・・・綱吉、長い時間会えなくて・・・・。」
おかしい、違う。
「さっきやっと仕事が片付いてね。」
何か、何か、違う。
「綱吉・・・・。」
雲雀は自分の近くまできた綱吉の腕を引くと、自分の膝の上に乗せ、強く抱きしめた。
綱吉はされるがままだ。
視界にはグラウンドと校門が見えていた。
そして綱吉は大きく目を見開いた。
校門の前に骸が立っていた。
違う、それだけなら、何も問題なかった。
目が、合った。気のせいではない。
こんなにも距離があっても、骸には自分が見えている。
そして今、自分も見えた。目を逸らすことなどできなかった。
約束を破り、恋人に抱きしめられている自分には。
すると、先に骸の方が目を逸らした。
一瞬ではあったが、とても悲しそうな顔をしていた。
「・・・・・・ッ!」
その時綱吉の中で何かが切れた。
嫌われた。
嫌われた。
嫌われた。
「どうしたの、綱吉・・・さっきから全然しゃべらないけど・・・・。」
雲雀は先程からだんまりの綱吉の顔を覗きこむことができるように腕の力を緩くした。
「ふ・・・・ッ!!ァ・・・・・ッッ!!」
堰を切ったように綱吉の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
ああ、この感情は。
「綱吉・・・。」
「ふ・・・・ッ・・・ァ・・・・ッッ・・・。」
ごめんなさい、ごめんなさい。嫌われたくなかった。
最初はそんなこと思わなかったのに。
今は・・・・・、今は・・・・・・
「どうしたの、・・・会えなくて、寂しかったの・・・・・・?」
違う・・・・・、違う、違うんです。
「綱吉・・・・・・?」
ああ、こんなにも優しくて
暖かくて、自分を支えてくれた貴方に
別れを告げる時が来るだなんて。
END