これまでの







「おやおや 君ならこんな下賎な輩、力を出せばすぐに倒せるでしょうに・・・。」

「・・・・む・・・くろ・・・・・・・っ。」



怖そうなお兄さん達に囲まれた俺を見て、骸はそう言った。
骸は1分も経たない内に俺を囲んでいた人達をなぎ倒していた。



「大丈夫ですか、綱吉くん。」



骸はにっこりと床に座り込んでいる綱吉に手を差し出した。



「あ・・・、うん・・ありがと・・・。」



骸の手をとり、立ち上がる。



「綱吉くん、気をつけないといけませんよ?今回はたまたま、僕が通りかかったからいいものを・・・・!!
何かあったらどうするんです!」


(たまたまじゃ・・・・・、ないくせに。)



こんなコトは今回に限ったことではない。
前も不良に絡まれていた綱吉を助け、不良をボコボコにしていた。


(何で・・・こんなに助けてくれるんだろう・・・・・。)



綱吉は自分の目の前でニコニコしている男の行動に今更ながら疑問を感じた。


(わからない・・・。何で、だろう・・・・・・。)



骸は綱吉を尻目につらつらと何かを話している。



「ちょっと!綱吉くん聞いてます・・・!?」

「え・・っ・・・あ・・・・、ごめん・・・・。」

「もう!まったく・・・・、ちゃんと聞いててくださいよ?だから・・・・―――ッッ!?綱吉くんッ!!!!」

「え・・・ッ!?」



大きな声で名前を呼ばれたと思った瞬間、突き飛ばされた。

「・・・・ッ!!何・・・?」

壁に叩きつけられた衝撃で背中に多少の痛みが襲ったが、すぐに目を開け 骸の方を見た。



「むくろ・・・・!!」



先程なぎ倒した不良の1人がナイフを持って骸 に襲いかかってきていた。



「まったく・・・、往生際が悪いですね・・・・。」



骸はすぐにナイフを叩き落し男を気絶させた。
男は小さく呻き声を上げると、冷たいコンクリートに倒れた。



「大人しく寝てればいいものを・・・。馬鹿ですねぇ。」

骸はそう言いながらわざとらしく服をはたく。


「あぁ・・・!綱吉くん!!大丈夫ですか・・・!?すみません!背中、痛かったでしょう!?」

骸は心配そうに綱吉の元に駆け寄ってくる。



トクン




(え・・・・?)



「いや・・・そんな・・・、大丈夫だよ・・・・・。」

「本当ですか?」

「ホントだって・・・うわ!」


骸はスルっと綱吉の背中を撫でる。


「ちょ・・・骸・・・・!」

「痛くないですか・・・?」

「だ、だから、大丈夫だって・・!」

「そうですか・・・・・、それはよかったです・・・。綱吉くんに何かあったら、大変ですからね・・・・。」


骸は安堵の笑みを浮かべる。
骸の笑顔を見た途端、綱吉の心臓が跳ねた。



トクントクン



(え・・・・、え・・・?)



トクントクントクントクン



(な・・・、何だよ・・これ・・・・。)

速まっていく鼓動に戸惑う。

(ただ、骸が笑っただけじゃないか・・・・、いつもと何も変わらないのに・・・・何でこんな・・・・っ)



トクントクントクントクン



「あぁ・・・綱吉くん・・・・怖かったでしょう?これでもう大丈夫です。さあ、家まで送って差し上げますよ。」


骸は何も言わない綱吉に気を良くしたのか綱吉を抱きしめる。



トクントクントクントクントクン



(・・・・・・ッッ!!!)


何故だか顔も、顔だけじゃなくて身体も、熱い。


「やっ・・・やめ・・・・・・ッッ!!」


綱吉は両手を押し出して骸の腕から逃れる。


「おや・・・そんなに嫌がらなくたっていいじゃないですか、・・・・・・僕でも傷ついたりするんですよ?」


骸は淋しそうに言う。


「あ・・・・・、ごめん。」


綱吉は申し訳なさそうに俯く。



(おや・・・・・・?)


いつもなら抱きついた時点ですぐに離れ、変なことするな!と大きな声で怒るのに今日は違う。


(これは一体・・・・・?)



「えっと・・・綱吉くん、大丈夫ですか・・・?」



先程から俯いている綱吉の顔を覗きこむ。
肩に触れれば、びくりと身体が震え、顔が弾かれるように骸の方を見上げた。



「綱吉、くん・・・・・?」

「・・・・・・・ッッ!!!」


綱吉の顔は何故か涙目で骸を見た途端にほんのり赤かった顔が、まるで ゆでだこの様になってしまった。


「・・・・ッ!」


するとすぐに綱吉は骸から目を逸らした。



(これは・・・・、もしかして・・・・ッッ!!!)



「綱吉くん大丈夫ですか・・・・・!?顔が真っ赤ですよ!?」

「やっ・・・大丈夫だから・・・・・っ」

「いけません・・・・!!!病気とかだったらどうするんですか・・・・!!」

「えっ・・・あ・・・・・!」


骸は綱吉の顎を掬い、上を向かせると綱吉の額と自分の額を合わせた。


「ちょ・・・!!むくろ・・・!!」


二人の距離は5cmもない。
目の前には端整な顔立ちの骸が。



(ちちちちちかっ近い・・・・・っ!!!)



トクトクトクトクトクトクトクトク



綱吉の鼓動は加速していくばかりである。


「う〜〜〜ん・・・熱はないみたいですね。」


そう言うと骸は額を離す。


(何で・・・っこんなに・・・・!)


綱吉は速くなる心臓を少しでも抑えようとぎゅうっと両手で押さえ込む。


「大丈夫ですか綱吉くん・・!?どこか痛いんですか・・・!?」


それを見た骸はあたふたと心配そうに綱吉を覗き込む。


「・・・や・・・大丈夫・・・・だから・・・。」

「本当ですか・・・・!?綱吉くん、とりあえずお家に帰りましょう。休んだほうがいい・・・。」

「う・・・ん・・・。」


骸はそう言って手を差し出す。
綱吉はためらいながらも、骸の手をとった。



トクトクトクトクトクトクトクトク



(おかしい・・・よ、俺・・・・・。)



トクトクトクトクトクトクトクトク




(何で、こんなに・・・・どきどき・・・するんだよ・・・・っ)


自分を引いて歩いてくれる骸をチラリと見れば、ニコリと笑顔を向けられた。


「・・・・・ッッ!!!」


顔が赤くなるのを感じた。


(おかしいよ・・・、おかしいよ・・・こんなの・・・・・。)





こんなの まるで恋みたいじゃないか。





END