安心








上へと進む為の足掛かりとして。





冷たい冷たい金属の感触 





自由を奪われた身体。





もうされるがままだ。





刃物が自分の瞼に触れる―――――。








「…ッッ……………はっ!」



暗い暗い昔の夢で目が覚めた。
窓からは太陽の眩しい光が差し込む。

その光のあたたかさとは反対にあの時の身を引き裂く感触が思い出される。



(なんで………今更こんな夢を………っ)



今更見て……、感じて………どうということもないのに。





「くはっ…………!」


自嘲気味に骸は笑う。



(………でも)





「………何ですかね、コレ。」



身体の震えが止まらない。



骸はぐっと震える身体を押さえた。



(何を………っ何を……っ今更っ………!!)





今更、怖がるなんて。







コンコンっと木製のモノを叩く音がした。
誰かが自分の部屋をノックしているのだろう。

「………はい。」


骸はベットに入ったまま返事をする。


「ごめん骸……、俺だけど―――。」


聞こえてきたのは成人しても小柄なボンゴレファミリー十代目 沢田綱吉の声だ。



「………あぁ、どうぞ。」

カチャとドアを開ける音が室内に響く。

「どうしたんだよ骸。」

「…………何がです。」

「今日俺起こすの骸だったのに来ないから……。」


綱吉は、未だベットにいる骸へと近づく。


「あぁ………すみません。似合わず、寝坊してしまったようで。」

骸はにっこりと微笑む。

「本当に?具合でも悪いんじゃないかと思って……。」

綱吉はベットのそばに膝をつくと骸と目線を合わせる。

「いえ………本当にだいじょう………」

「うわっ!……すごい汗じゃんかっ!大丈夫なの!?やっぱり具合悪いんじゃ………。」

「あぁ……ただの寝汗ですよ……」

「本当に……?とりあえず、そのままにしたら風邪引いちゃうよ。何か拭くもの取ってく………!?」



綱吉が立ち上がろうとした途端腕を引かれ、抱き締められた。



「む………くろ…………?」



きょとんとした顔で骸を見るが、顔を綱吉の肩口に埋め表情が見えない。



「ど、……したんだ……やっぱり具合わる……っ」





「…………がい………ま……す。」

「へ………?」



「…………すみ、ません。……………もう少し……このままで………。」



「………うん。」





綱吉はゆっくりと背中に手を回し、抱き返した。






END