小さな木の下で。







(今日のおやつは何食べようかなっと………アレ?)



放課後

綱吉は家に帰る途中に見知った姿を見つけた。


(あれって………。)


一度見たら忘れないであろう髪型と
並盛では目立つ緑色の制服を身に包んだ少女が公園の木々の中に立っていた。
彼女は一本の木に向かって両手を伸ばしていた。

何をしているのだろうと綱吉はフラリと公園内に入る。



「えっと……クロー……ム……?」

「!……ボス。」

クロームは一度驚いた顔を見せるが、綱吉だとわかると安心した表情を見せた。

「こっ……こんな所で何してるの……?あっ……。」

ピヨピヨと鳴いている雛鳥が一羽クロームの手のひらに乗っかっていた。
上を見れば同じ雛鳥が数羽、巣の中で親鳥が来るのを待っているようだ。

「……落ちちゃったんだ…。」

クロームはそれを見つけ巣に戻そうとしていたらしい。

たが クロームの身長では難しい。
しかしクロームより少し大きい綱吉には可能かもしれない。

それにさほど大きい木でもない。



(よしっ・・・俺が何とか頑張れば大丈夫かも………。)





「クローム そのコ貸して。」

「ボス……。」

「一人ぼっちは淋しいもんね。」

綱吉はクロームから雛鳥を受け取ると幹に足をかけ、木によじ登る。
木登りは得意ではないが、綱吉だって男の子だ。
ちょっとくらい女の子の前でいい格好をしたい。







(っ……もうちょっとっ……。)


綱吉は何とか頑張って木に登り、あともう少しで雛鳥の乗った手が巣に届く。
青々と生い茂る葉っぱが綱吉の邪魔をし、片手を支えている枝がきしむ。
下ではクロームが心配そうに綱吉を見上げている。


(っ………ぁくっ………!)

厳しい態勢に身体が悲鳴をあげそうだが
綱吉はそれを堪え、グッと手を巣に向かって伸ばす。
すると雛鳥は綱吉の手のひらからコロンと転げ落ち、巣の中に戻った。



「やった……!」



雛鳥が戻った嬉しさに歓喜の声をあげた綱吉だったが、
それと同時にバキッと不吉な音がした。
枝が折れたせいで支えを失った綱吉は下にまっさかさまだ。


「うわぁぁああああっ!!」

「ボスっっ!!!」











「ってて………あれ?あんまり痛くな……い?」


俯せに落ちたはずの綱吉はほとんど身体に痛みがないことを不思議に思い、
起き上がろうと地面に手をつく。



むにゅっ



(………!?)


明らかに地面と違うその柔らかな感触に驚いた綱吉はすぐに自分の手元を見た。



「なっ!!!?」

そこには仰向けなり自分の下敷きになってしまっているクロームと、
彼女の豊満な胸に触れている自分の手だった。


「うっわあああぁぁっ!!!」


綱吉の体温は一気に上昇し、飛び上がらんばかりのいきおいでクロームの上から退き、
恥ずかしさのあまりに背を向け、地面へ座り込む。

クロームは綱吉の叫び声を聞き、目を覚ます。


「ごっごめんクロームっっ!!!さっさっさっ触るつもりじゃっ……!!そのっじっ事故でっ………!!!」


綱吉は半泣き状態で必死になって謝罪を口にする。


(うわぁぁぁーーっ おっ俺は何てことを……っ!)


ビンタの一回や二回は覚悟しておかないと、など様々な事を考えていた綱吉だったが、
背中にきた暖かい感触に思考が止まる。



「………ボス。」

クロームは綱吉の背に身体を寄せ、小さくつぶやいた。

「くっ!!くくくっクローム……!?」

「……ボス、私は大丈夫…だから……。」



(……!…くっ、クローム………怒ってないの、かな……?)


背中に感じる暖かさにドキマギしながらも何だか動けずにいる綱吉はクロームとの会話を続ける。



「でっでも、おっ重かったよねっ……!ごっごめんねっ……!!ケガ、なかった……?」

「………大丈夫。」

「そっ……そっか……よかった……。」





しばらくの沈黙が流れる……。





(うっ……どうしよう……何を話したらっ……っていうかこの状態がっ……。)


綱吉がこんなに女の子と急接近したのは経験上もちろんなく、綱吉の身体は緊張でガチガチだ。


「………ら……だい……ぶ。」

「…………え?」






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