桜*熱







ぽかぽかと春一直線な暖かい温度に
お昼ごはんを食べた後の満腹感も加わってウトウトと眠気が襲ってくる午後2時。

その眠気を少しでも緩和しようと窓を開け、新鮮な空気を部屋に取り入れる。
サラサラと流れる蜂蜜色の髪をじっと見つめれば嬉しそうに笑って自分の方へ近づいてきた。



「雲雀さんっ」

「どうしたの、綱吉。」

「お花見に、行きませんか?」



上目遣いで、何だか少し気恥ずかしそうに僕に問った。



「・・・・・・・ 突然だね。」

「え、いや あの・・・、今日の朝、今週末は桜が見頃だってテレビで言ってたから・・・・
その・・、雲雀さんと一緒に見られたらなぁ・・・と思って・・・。」



今それをふと思い出したんです。と恋人は照れくさそうに笑う。
その様子が可愛くて思わず頬が緩むがすぐに表情を引き締める。



「別にいいけど・・・、どこに行くの。」


興味なんてない、そんな素振りをしながら椅子に座って未処理の書類を手に取った。


「え・・・っと・・・あの・・公園・・、とか?」

「・・・・・じゃあ、前みたいに貸し切ろうか。」

「え!?あぁ・・!そ・・それはちょっと・・・。」

綱吉はやっと過去の出来事を思い出したのか、それはマズイと良い返事を返せない。



「じゃあどうするの? 分かってるとは思うけど僕は群れるのは嫌いだよ。」

「そそそそそうですよね・・・・・っ!!!えっと・・・・。」



綱吉は首を傾げ、必死に良い場所を考えていた。
その様子に雲雀はクスクス笑うと考え込んでいる綱吉の腕を引っ張り自分の膝の上に乗せた。



「うわぁ!?ひっ・・雲雀さん!?」


綱吉はいきなり何するんですかと、恥ずかしそうに雲雀を見下ろす。


「そんなに悩まなくてもいい場所があるよ。」

「へ・・・・?」









「いい場所って・・・・・、ココですか。」



週末 




空がとっぷりと暗くなったころ雲雀に連れてこられたのは綱吉がよく知っている場所だった。



「そう、ここなら常に貸しきられているようなものだからね。」



満開の桜の木の下には広くゴザが敷かれており、綱吉は母から預かってきた弁当をその上に置く。
座って見えるのは綺麗な桜と見慣れた校舎。


そうココは並盛中学の中庭なのだ。


雲雀にいい場所があると告げられてから、他にいい場所も思い出せずいた綱吉は
公共の場所を貸し切らないということを確認して、雲雀の提案した場所に決めたのだった。



(学校も公共の場所って言ったらそうだけど・・・、まぁ・・・いっか・・・。)

学校なんて10割近く雲雀さんのモノみたいなもんだしな・・・。と綱吉は変に納得した。


しかもご丁寧に綱吉と雲雀の周辺だけ校舎に設置されたライトで照らされていた。


「綱吉、ソレ何。」

雲雀は綱吉が持ってきた重箱をじっと見つめる。

「あっ その、母さんが持たせてくれて・・・・雲雀さんのお口に合うかどうかわからないんですけど・・・よかったらどうぞ。」

綱吉はそう言って重箱の蓋を開ける。中身は色とりどりのおかずがバランスよく詰められていた。

「美味しそうだね・・・・頂くよ。」

雲雀はそう言うと料理に箸を伸ばした。






「桜・・・・、綺麗ですね。」

「そうだね。」


重箱の中身を平らげると二人は寄り添ってぼんやりとライトアップされた桜を眺めていた。
夜の闇とライトアップされた桜のコントラストが幻想的でココが学校であることを忘れてしまいそうだ。

時折ひらひらと舞い落ちる花びらも何とも情緒的だ。


「あ、雲雀さん、お茶のおかわりいりますか?」

「うん、ちょうだい。」


綱吉は持参してきた水筒を取ると雲雀の専用の湯のみ(わざわざ応接室から持ってきた)にお茶を注ぐ。
すると綱吉のうなじにひらひらと花びらが落ちてきた。


「綱吉。」

「はい・・・?」

「動かないで。」

「え・・?あの・・?ひぁっ!」


雲雀はそう言うと背後から綱吉を抱きしめ、舞い落ちた花びらの上から白いうなじに口づけた。


「ちょっ雲雀さん!?何して・・・ッ」





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