境界線







言うんだ今日こそ。




もう待ってられない。




言うんだ。


言うんだ。



今日こそ。








手土産にと思って有名店のガトーショコラ(1ホール)をドアを開いてくれた母親に渡し、
2階にいるわよと促され、人の良さそうな笑顔を向けると、足早に階段を上っていく。


「綱吉くんッッ!!!」


バンッッといきおいよく開かれたドアの先には珍しく机に向かいノートと鉛筆を持ち、
突然の訪問者に驚く部屋の主の姿があった。


「む・・・、むくろ?いきないどうし」



「僕は・・・・ッ」



「むく、」



「僕は・・・・ッ!!」




息が詰りそうになりながら、早く言ってしまいたくて、言葉を遮る。

それに相手に何か先に話されたら何故か終わってしまうような気がした。





「僕は・・・・ッ君が・・・、好きなんですッ!!!」




言葉を吐き出し終わり、ゆっくりと相手を見ると、
綱吉は先程よりも目を大きく見開いて、骸を見ていた。

しばらくの沈黙が部屋を支配する。






「え・・・っと・・・。」


先に沈黙を破ったのは綱吉だった。


「と、とりあえず、そこ座って・・・。」


綱吉もどうしたらいいのかわからないのか、
部屋の入口に立ちっぱなしの骸をとりあえず座らせる。

骸は何も言わずに綱吉と少し距離を置いて座る。


「えっと・・・。何でお前がいきなりこういう行動に出たのかはわかんないけど、・・・・俺、嬉しいよ。」


「ぇ・・・。」


予想していない言葉に骸はパッと顔を上げる。


「俺・・・、骸には嫌われてると思ってたから・・・。」


「・・・・ッ!」


これはOKということなのだろうか。

骸の胸は自然に高鳴る。



「つなよしく」

「このまま、雲雀さんは・・・、無理かもしれないけど、他の皆とも・・・、仲良くなってくれたら、俺も嬉しいな。」




ハイ・・・・・?






えへら、と笑う綱吉に対し、骸は口が半開きだ。


何故君のコトを言っているはずなのに他の人間の名前が出るのだ。



「あ、飲み物何か持ってくるから待ってろよ。」


そう言って部屋から去る綱吉の背中を、骸は呆然と見送った。






これは一体どういうことなのだと、思考が停止していた頭を振ることで現実に引き戻した。


(思いっきり勘違いをされていますね・・・。)


そう、仲間として、もしくは友人として『好き』であると、
そのような意味で捉えられたのだ。


(鈍い鈍いと思っていましたが、これほどとは・・・・・・。)


真っ向勝負でもダメでしたか・・、と
ポツリと呟き、大きなため息を1つ落とした。




「どうしたんだよ、骸 そんなに項垂れて。」


綱吉は持ってきたトレーを机に置くと、骸の向かい側に座った。

トレーにはオレンジ色の液体の入ったグラスが二つと、
先ほど骸が持ってきたケーキが2つ綺麗に切り分けられ、皿に乗っている。


「ごめんな、ケーキあんなに・・・・ありがとう。チビたちがすっごく喜んでたよ。」


綱吉はそう言いながら骸の前にグラスとケーキの乗った皿を置く。


「・・・・いえ。」


「・・・・?どうしたんだよ骸?」


部屋を出る前の雰囲気と今の骸があまりにも違うので、綱吉は首を傾げる。



(どうしたもこうしたも君が・・・・。)

と、骸は心のナカで呟くが、一呼吸すると、
すくっと立ち上がり綱吉の隣に腰を下ろす。


「え、むく・・・!」


ぐいっと片手を引かれると、


そのまま身体も引き連れられるのは当然のことで。



綱吉のカラダは骸に抱きしめられた。





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