1粒で2度オイシイ







「雲雀さんっ………あの、これ……。」


頬を赤く染めながら綱吉が僕に差し出してきたのは、綺麗にラッピングされた長方形の箱 
これが何を示す物かは分かりきっているが、自らは言わない。


「何、これ………。」

「えっ………あのっそのっ……。」


もじもじと恥ずかしそうな顔で僕を見上げる綱吉はとてつもなく可愛い。


「バッ……バレンタインチョコですっ………!」

「………僕に?」

「はっ、はいっ………!!」


そうやって綱吉はずいっと僕にチョコを近付ける。


「ありがとう………、おいで綱吉。」

「っわ……!!」


チョコを受け取りながら、そのまま腕をひき綱吉を抱き寄せる。


「ひっひばりさっ……!」

「……嬉しいよ綱吉、でも…もっと欲しいものがあるんだけど。」

「えっ……あっ………!」


ドサリと綱吉をソファに押し倒し、逃げられないように覆い被さる。


「やっ……待って下さい雲雀さんっ……!」

「ダメだよ……、ほら こっち向いて……。」


そう言って赤く熟れた頬に触れると、綱吉は潤んだ瞳で僕の名前を呼ぶ。


「ひば、りさ………。」

「綱吉………。」


僕も綱吉を呼び、そのままゆっくりと柔らかな唇にを重ねようとした。


その時だった。



((委員長っ……!))


誰かが呼ぶ声がする。

この部屋には僕と綱吉しかいないのに。


((委員長っ委員長………っ!!))


この声は、草壁………?


居るはずないが、僕は応接室を見渡す。







やはり草壁の姿はなかった。


「雲雀さん………?」

僕の行動に綱吉はキョトンとした顔で見上げる。

「……あぁ、何でもないよ。」


僕はそう言って再び唇を重ねようと綱吉に近づき……――――。


((っちょう!!委員長っ!!!委員長っ!!!))




ちょっと何なの草壁っ!!

僕の邪魔するなんて一万年と二千年早いよっ!!



「委員長っ!!起きてくださいっ!!!」











目の前には可愛い綱吉の顔なんてなくて、白い天井が僕の視界を支配していた。


「おはようございます委員長、そろそろ時間でっゴハァァアッ!!」


とりあえず目線を動かした先にいた男をトンファーで殴った。

すぐに起き上がると部屋をキョロキョロと見回したが、綱吉の姿はなかった。
床を見れば、血を撒き散らした草壁がよろよろと立ち上がってきた。


「っ……ぁ、あの委員長……そろそろ見回りのお時間です。」

「………あぁ。」

そう言って僕は学ランを掴み、部屋から出た。










今日は2月13日、バレンタインデー前日だ。

今年は14日が土曜日ということもあってか、学校にチョコを持ち込む生徒は少ない。

だが、前日ということもあり、厳重な見回り・持ち物検査は今年も行っている。
学校に持ち込もうとしている生徒も少なからずいるようで、
風紀を乱さないため、全て没収するように指示してある。

昨年よりも数が少ないものの、応接室にはたくさんのラッピングされた箱が積まれていく。


(綱吉は・・・、僕にチョコくれるのかな・・・・。)


部屋の端に積まれたチョコレートの山を見ながら、雲雀はぼんやりと考えた。

そう、昨年までは全く興味のなかった雲雀だが、今年は違う。

雲雀と綱吉は恋人同士。

今回が初めてのバレンタインデーだ。


こんなイベントごとに心躍らせている自分に少し驚いているが、せっかくの恋人同士にイベントごとだ。
それぐらいは大事にしたい。



(・・・・手作りかな。)


そんなことを色々考えながら、見回りのときに見た綱吉の笑顔を思い出す。

見回り中の雲雀を見つけた綱吉は軽く会釈をすると、
とてとてと雲雀に近づき、少しばかり談笑して教室に戻っていった。
そのまま部屋に連れ込もうかと思ったが、仕事が残っていたので諦めた。


楽しみを明日にとっておくのも悪くない。

雲雀は応接室で一人、明日のことを考えニヤニヤしながら、
積まれた書類を片付けていった。






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