一目惚れ。







※陰間(遊郭の男の子版)パロです。
時代背景?的には江戸時代ぐらいと思って
お読みいただければ有り難いです。

それでは 本編へどうぞ









彼と出会った時のことはよく覚えている。

朱色に染まる空。

活気づき始める街にうんざりするほどの人の群れ。
客引きする遊女達から漂う 気が滅入りそうな化粧の匂い。




その中にふわふわと白い、 うさぎをみた。





「んぁっ……きょ…、やぁ……さっ……あっ」

「んっ……つなよしっ……!」

「ひゃあっ……!まっ……!あぁっ!」



クチュクチュと卑猥な水音が薄暗い室内に響く。
ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎が愛し合う二人の姿を障子に映させる。


「つなよしっ……!つなよしっ………!!」

「ふぁあっ!!ひんっ……あっあっ………んぅ!!」







高級呉服屋の若旦那の雲雀恭弥
あさり茶屋の陰間、沢田綱吉。

二人が出会ったのは三ヶ月も前のこと。

雲雀が仕事の帰りで賑やかな遊廓街を通った時だった。

人が群れるのが嫌いな雲雀は普段は通らないその道を
その日は先を急いでいたため、仕方なくその界隈を通った。

ひっきりなしに遊女が話しかけてくるものの、
それが雲雀だとわかると女達はすぐに別のところへ行ってしまう。

そう、雲雀自身、またその性分はこの町では大変有名で、
町で雲雀が歩いているのを見ても話しかける者などほとんどいない。

しかし今日は遠征で自ら京都の絹の仕入れを行ってきた帰りで、
風貌がいつもと違っていたせいか話しかけたり、絡んできたりする輩も多かった。

雲雀は苛立ちを覚えながらも足を進めていたが、一段と賑やかな店がふと目に入った。

今日始めたばかりなのか店の前には小さな人だかりができていた。



店の名前は「あさり茶屋」
店の入口の横には人が2、3人入れそうな柵が設けてあり、
その店の目玉と言われるであろう陰間達が潤んだ瞳で外を見て客を誘っていた。

よくある陰間茶屋であると雲雀が通りすぎようとした時、雲雀の目に一人の少年が飛び込んできた。


柵の中、ふわふわと柔らかそうなこの時代では珍しい薄茶色の髪をしており、
赤を基調とした髪飾りが良く映える。
瞳は大きくこぼれそうで小さな鼻が何とも可愛らしく頬は桜色、
唇も紅が綺麗にひかれており思わず目がいく。

肌はこのまま消えてしまうのではないかと思われる白く、
その身体を包む着物はそれを際立たせるように紅色の上等な絹でできていた。

そして幼いながらも、何とも言えない色香が漂ってくる。



雲雀はその少年を見た途端、その場に立ち尽くした。



そう、心を奪われた。


まさかの一目惚れ。





しばらくその場で少年を見つめ立っていた雲雀だったが、
我に返ったときの行動の速さは尋常ではなかった。

雲雀はすぐに店の前の人ごみを掻き分け店に入り、あの少年を指名した。
外の賑わいとは別に中はまだあまり人はおらず、静かなものだった。

案内された部屋では料理がところせましと並べられていくが雲雀はそんなものどうでもよかった。

早くあの子に逢いたい。

その一心だった。


そしてしばらくしてから、失礼しますと可愛らしい声が聞こえ雲雀の胸は高鳴った。

スッと襖が開かれ、三つ指をついた少年が深々と頭を下げる。


「今日はご指名頂きありがとうございます。初めまして 沢田綱吉と申します。」


少年は頭をゆっくりあげるとにっこりと微笑んで雲雀を見る。


(沢田・・・、綱吉・・・。)


雲雀は何度も名前を繰り返し、胸にその名を刻む。
そして間近で見る綱吉の美しさに再び見惚れる。

「・・・・・あの・・・?」

何も話さない雲雀を不思議に思ったのか、
綱吉は首を傾げ、雲雀を伺うような顔を見せる。


「あ・・・あぁ・・・・、すまないね、僕の名前は雲雀 恭弥 こっちにおいで、綱吉。」

「はい・・・。」

綱吉は言われた通り雲雀の隣に座るとすぐに手を引かれ、

雲雀の腕の中に閉じ込められた。


「!!??ひ・・雲雀様・・!?」

いきなりの抱擁に綱吉は驚きの声を上げた。



NEXT→