試供品







「コバセン!!一緒に風呂入ろう!!」


「は……?」


明日は休みだからと自分の家に泊まりに来た恋人、
植木耕助は晩酌をしている小林に大きな衝撃を与えた。

「なっ?いいだろ??コバセンっ」

ビールを持ったまま固まっている小林に対して植木は上目遣いで小林を見る。

「ぁ…あぁ…。」

まだ状況を理解できてないのか小林は混乱のままに返事を返す。
植木はやった!と小さく言うと嬉しそうに風呂場に駆けて行った。


(な……なんだなんだ……?)


小林は植木にしてはとても珍しいお願いに驚いていた。
いつもなら、小林が一緒に風呂に入ろうと誘う。

なのに 今回は逆だ。
それに小林が誘うと8割は断られる。
(それでもムリヤリ一緒に入るのだが。)


(おかしい……。)

そう思いながらビールを全て飲み干すと、
小林は愛しい恋人が呼んでいる風呂場へと向かった。





「そういうことか……。」

乳白色に染まった湯舟を見ながら小林は言った。
恋人が呼んでいる方に行くと普段は透明である風呂の湯が乳白色へと変わっていた。
植木に聞くと、帰り道に試供品としてもらった入浴剤だと言う。
純粋な植木はこれをもらった人間に何を吹き込まれたのかは知らないが、
この入浴剤の効果について目をキラキラさせながら話す。
植木が言う話だと、肩コリ、腰痛、歯痛(!?)など様々なものに効くらしい。



(なるほど…‥な)

オレと一緒に試したかったのか…可愛いヤツめと、ニヤニヤしながら植木を見ると
植木はそんな小林をよそに、 早く入浴剤の効果を試したくてうずうずしているのか、
小林の服の裾を引っ張っていた。


(っ……!!かっ可愛いっっ……!!)


小林が植木の可愛さに悶えていると、植木の方から口を開いた。

「コバセンっ早く入ろう?」

「あ…あぁ!!じゃぁ入るかっ!」

うんっ!!と植木は元気良く返事をすると服を脱ぎだした。

ふぅ と小林は小さく一息つくと、自分も服を脱ぎ始めた。



(あ゛ーーいつまで持つかな……。)

小林はそんなことを考えながら風呂場へ入った。





「どうっ!?コバセンっ!!肩コリ治りそうっっ!?」

「いや、どうつってもなあ……。」



こんなのでどうにかなるのだろうかと小林は思いながらも
目をキラキラさせている植木に否定できるワケもなく、曖昧な返事を返す。

「うーん…そんなにすぐは効果が出ないのか?」

小林の前に背を向けて浴槽につかっている植木は 入浴剤の効果についてあれやこれやと自問自答していた。

「でもなぁ……やっぱり、ひゃあっ!!」

するっと何かが植木の腰を撫でた。そんなことをするのは一人しかいない。

「もっ…!コバセンッッ!!ドコ触ってんだッッ!!」

「いや、腰痛にも効くってお前、言ってただろ?だから お前は治ったかな〜?と思ってよ。」

「なっ……!!」

いつもムリさせてるからなと追い撃ちをかければ、植木は真っ赤になり、ユデダコ状態だ。

「へっ…!!変なこと言うなっっ!!コバセンのバカッッ!!」

「うわっ!!!」

植木は バシャバシャと浴槽の湯を小林にすごい勢いでかけ始めた。
余程恥ずかしかったらしい。

「うわっバカ!!やめろ植木っ!!」

「コバセンのバカっ!変態ッッ!!エロ教師っ!!」

植木は散々小林の悪口を言うとぷぃっとそっぽを向いてしまった。



(あーあ、またやっちまったか……。)

小林はかけられたお湯をあらかた拭うと植木を後ろからそっと抱きしめた。

「悪かった、植木 ほら機嫌直せ・・。」

な?と言いながら植木の返事を待つが、何も応答がない……。


(…!?そっそんなに怒らせたか!?)

いつもなら拗ねたカオをしてこっちを振り向くのに、今日はそれがない……。

小林は焦って植木のカオを覗き込む。




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