Liquor







少し、少しの間のはずだった。

それを取って、すぐ家に帰るはずだったのだが 出勤していた職員と話し込んでしまった。

すぐに帰る、と恋人に告げていたのに・・・・・。 



今日はせっかくの休みで、久しぶりに植木に構ってやれると思っていたのだが
小林は明後日中に仕上げなければならない仕事を抱えていた。
植木がいる間はその仕事に手をつける気はなかったのだが、
植木は忙しいのならば自分の事はいいから仕事をしろ、と言って本を読み始めてしまった。
そう言われてしまっては小林も仕事に手をつけない訳にはいかない。
早く終わらせて植木と遊ぼうと仕事を始めようとしたのだが、
肝心の資料を学校に置いてきてしまったのだ。

そして小林がちょっと行ってくる、と植木を置いて家を出たのは2時間程前の話だ。



(ったく・・・あのオッサン話長ぇんだよ・・・・・。)

小林は心の中で悪態をつくと、アパートの階段を駆け上がっていた。

(怒ってっかな・・・・・・。)

もしかして怒って帰ってしまったのではないだろうか、と心配になった小林だが
家のドアを開ければ植木が体当たりではないかと思う程のいきおいで小林に飛びついてきた。

「うわ・・・・ッ!」

あまりのいきおいに小林は後ろに転げそうになる。

「・・・ッオイ、植木危ないだろ・・・・・。」

小林はなんとか受け止めるときゅぅっと抱きついてくる植木の頭を撫でた。

「・・・・・・だってコバセン遅かった・・・・・・。」

植木は拗ねているのか小さく文句を言った。
小林はそのことを謝ろうと植木と目線を合わせる為にしゃがむと植木の異変に気づいた。



赤く染まっている頬、 そしてトロンとした色っぽい目。



「・・・・・・・植木ぃ・・・・お前、酒飲んだだろ・・・。」

「・・・・・・・?」

小林の問いに首を傾げる植木をよそに小林は家の中に入ると空になった缶チューハイが転がっている。
普段は缶チューハイなど飲まない小林なのだが
この前犬丸がここに来たときに置いていたものだ。(犬丸はチューハイしか飲まないらしい。)
植木のことだからどうせジュースと間違えて飲んでしまったのだろう。
軽く2,3本空いている。

「おい、植木大丈夫か・・・・・・。」

小林は植木を案じるように植木の方を振り向くと
植木はまた小林の腰にしがみつく。

「植木・・・・・?」

「遅かった・・・・・・・。」

植木は小林が謝らないのを怒っているようだ。

「あぁ〜・・・・悪かった。ごめんな?ちょっと話し込んじまって・・・・・。」

小林は今度こそ謝ると植木の様子を伺った。
謝った途端植木の顔は笑顔に変わった。

(可愛い・・・。)

小林は植木の笑顔に見惚れる。




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